北の果てへ
札幌を出発して約5時間。
真っすぐに続くオロロンラインを北へ走ると、風景がどんどん変わっていきます。
オロロンラインとは、石狩から稚内まで日本海沿いを走る絶景の海岸道路。
左手に海、右手に牧草地と風車が広がる、まさに“北海道らしさ”満点の道です。

片側は日本海、もう片側は一面の草原や荒々しい崖。
まるで地球の端っこを走っているような感覚になります。

札幌を出発してから気がつけばもう4時間が経過し、普通ならドライブにも飽きてくる頃ですが、
舌筆に尽くしがたい絶景を横目に、疲れを知らずにノンストップで駆け抜けていきます。
風力発電の風車がゆっくりと回る、どこまでも続く青い空。
真夏でも風がひんやりと心地よく、
窓を開ければ潮の香りと牧草の匂いが混じった空気が流れ込んできます。
北海道の夏は短いけれど、だからこそ、この季節の稚内は特別に輝いて見えました。
サロベツ原生花園 – 風にゆれる緑と青
最初の目的地は、豊富町にある「サロベツ原生花園」。
駐車場を降りた瞬間、思わず深呼吸。空気が澄みすぎていて、肺が喜んでる気がします。
木道を歩き出すと、一面に広がるのは、青空の下で輝く鮮やかな緑。
8月のサロベツ原生花園は、花の季節を終えていても、その広がりと生命力に圧倒されます。
どこまでも続く湿原の緑が、風にそよぎながら波のように揺れる。
その光景を眺めていると、まるで大地そのものが呼吸しているような感覚になります。

タイミングが良ければ、遠くに利尻富士の姿も見えるのですが、
この日はうっすらと雲の中。それでも、「見えそうで見えない」のもまた旅の醍醐味です。
静かな風の音、鳥のさえずり、そして湿原の香り。
稚内エリアの中でもさほど有名ではないためか、観光客は少なめ。
静謐な絶景を独り占めすることができました。
海の幸ランチ – 稚内で“海鮮丼を食べない”選択
稚内といえば海鮮。
普通なら迷わず「ウニ丼!いくら丼!海鮮丼!!」となるところですが、
あえて今回は“チャーメン”で勝負です。
チャーメンとは、稚内のソウルフードともいえる中華あんかけ焼きそば。
パリッと焼いた麺に、海の幸と野菜たっぷりの熱々あんが豪快にかかっています。
地元でも有名な「む蔵」さんでいただいたのは、
海鮮と北海道の野菜がたっぷり入った熱々のあんかけ焼きそば。
プリップリのホタテに、イカ、野菜のシャキシャキ感、そして麺の香ばしさ。
ひと口食べるごとに、「あ、これ正解だったな」と確信していきます。

稚内まで来て海鮮丼を食べない選択。これが北海道“旅の玄人”であるMikity Tourです。
でもね、そんな選択をしたときにこそ、思いがけない名物に出会える。
旅ってそういうものだなぁと思わせてくれるランチでした。
宗谷岬 – 日本最北端の地
お腹を満たしたあとは、いよいよ最北端へ。
北へ向かうにつれ、風の強さが増してくるのがわかります。

宗谷岬は夏でも寒いくらいに涼しい場所。さすが、日本最北端。

「宗谷岬」と書かれた石碑の前に立つと、目の前に広がる青い海。
その先には、かすかにサハリンの島影が見えました。

ですが、宗谷岬は思ったよりしょぼいです。偉そうにすみません。
たいてい、その国や地域の最果て(のモニュメントがある場所)とは、得てしてそういうものですよね。
その地に到達することに達成感を感じるもの。それでいいじゃないですか。
でもね、宗谷岬には日本最北端の地であること以外に、もう一つ、絶対に訪れてほしい理由があるのです。
それはーーー宗谷岬から後ろに振り返ると見える、北海道屈指の大絶景「宗谷丘陵」です。
宗谷丘陵と白い道 – 風の大地を走る
宗谷岬から内陸へ少し入ると、そこはまるで別世界。
緑の丘がどこまでも続き、牛がのんびりと草を食み、
遠くには風車がゆっくりと回っています。


そして、丘の向こうに現れるのが「白い道」。
貝殻を砕いて敷き詰めた真っ白な道路は、
太陽の光を反射してまぶしいほどに輝いていました。
青い空、緑の丘、そして白い道。
まるで絵の中を走っているような気分になります。

途中で鹿の群れが現れたり、牛がこちらをじっと見つめていたりして、
思わず車を止めて見入ってしまいました。
私たちは絶景ポイントの度に、そして動物の群れと遭遇する度に、車を止めてを繰り返してしまい、大幅に当初の予定をオーバーしてしまいました。
このブログを読んでくださっている皆さん、宗谷丘陵での観光時間は“長め”に取るのがおすすめです!
ジブリのBGMが聞こえてきそうな、息を呑むほどの大地と海の世界。
写真でも動画でも伝わりきらない“風の匂い”を、ぜひ一度肌で感じてみてください。

晴れていたら利尻富士を望むこともできますよ。
おまけ①:興部町のおこっぺアイス – 世界一の味
帰り道、少し遠回りをしてでも立ち寄りたかった場所。
それが、興部(おこっぺ)町の「おこっぺアイス」。

カップを開けた瞬間、ふわっと広がるミルクの香り。
ひと口食べると、まるで冷たい牛乳をそのまま食べているような、
優しくて、どこか懐かしい味がします。

凝固剤を使っていないので、溶けるのがとにかく早い。
撮影しようと思っていたら、もう半分なくなってました(笑)。
でも、その“儚さ”も含めて、このアイスの魅力。
正直、このアイスのためだけに、また興部に来たい。
いや、むしろこの一口のために、また北海道を走ってもいい。
それくらい衝撃的においしいソフトクリームでした。
おまけ②:稚内の激安海鮮市場
稚内でちょっと寄り道するなら、ぜひ立ち寄ってほしいのが「稚内丸善」。
地元の人も通う、激安すぎる海鮮市場です。

正直……あまり教えたくないんです。
だって、ホタテが3キロで1,800円なんですよ!?
信じられないくらい安くて、しかも新鮮。

市場の人たちも気さくで、
「これ焼いたらめちゃうまいよ~」なんて会話が飛び交う、まさに“北の台所”。
買い物というより、地元とのふれあい体験みたいな楽しさがあります。
旅の帰りにクーラーボックスが空いていたら……もう、買うしかない。
というか、クーラーボックス必須ですね。
私たちはもちろん家族に送り付けましたよ!
空と風のまち、稚内
日本のてっぺん、稚内。
最果てにて出会う絶景と、日本屈指の美味しさを誇る海鮮。
(Mikity Tour的には稚内または釧路が北海道No.1)
そこは観光地というより、“北海道そのもの”を感じられる場所でした。

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